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第3回珍味川柳入賞作品発表

応募作品 ペンネーム又は本名
大賞 防災の 袋に珍味 しのばせる 紫敷布
優秀賞 アタリメを くわえて向かう 競馬場 風来坊
優秀賞 山海の 珍味に箸も 嬉しそう 卑弥呼(ひみこ)
佳作 珍味には 下戸も横から 手を伸ばす 酒乱Q
佳作 ふるさとの 珍味自慢で 酒楽し JJ
佳作 恋じゃなく 珍味に出会う ひとり旅 はまあゆ
佳作 慰安旅行 珍味で釣った だんなさま Q太郎
佳作 ぬる燗と 珍味のコラボ 金メダル ランボルギーニ
佳作 京料理 名器に珍味 かしこまる 満風
佳作 彼に出す 珍味は父の 承諾書 風の巻
佳作 こっそりと 珍味で手酌 妻の留守 モコ
佳作 検診日 過ぎれば珍味 解禁日 メタボ予備軍
佳作 冷蔵庫 上段奥は 珍味席 万平

応募総数 1644句
入賞作品 13句

選考委員会の講評

~ 珍味との出会い~
第3回の珍味川柳募集には前回の投句数の2倍以上、1664句の応募があり、珍味に対する関心が高まっていることが実証された。今回の入賞作品を見ると、珍味との出会いが詠み込まれている。誰と、あるいはどこで、珍味と出会ったかが具体的に詠まれていて、その情景がイメージできる。
大賞の作品「防災の袋に珍味しのばせる 紫敷布」には作者の珍味へのこだわりがよく表れている。普通ならば「防災」には保存食が思い浮かぶところだが、作者は「防災の袋」にまで珍味をしのばせると言っている。防災にもいろいろな場面が考えられるが、そこに珍味が持ち込まれているところがうれしい。
優秀賞作品の「アタリメをくわえて向かう競馬場 風来坊」は、いかにもその情景にぴったりしている。「スルメ」(摩るめ)は縁起がよくないので、「アタリメ」(当たりめ」という縁起担ぎの言い回しはよく聞かれる。特に勝負事では「摩る」は禁句である。その辺を「競馬」に「アタリメ」を持ってきて表現した作者は、言葉の技巧が光っている。
もう一つの優秀賞作品「山海の珍味に箸も嬉しそう 卑弥呼」は、珍味に対する作者の悦びがよく表れている。本当は、うれしいのは作者自身であるが、それを「箸」にかずけているあたりは、表現が大変によくこなれていることに敬意を表したい。
佳作には、旅と珍味、料理やお酒と珍味の組み合わせが詠まれているが、恋人を紹介する席での珍味を「父の承諾書」と表現したあたりには、非凡な感覚が見える。優れた作品のご投句には、あらためて感謝の意を表したい。以上。
講評 故 今川 乱魚((社)全日本川柳協会 元会長)