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第15回珍味川柳入賞作品発表

応募作品 ペンネーム又は本名
大賞 よき友と 飲めば珍味の 味も増す ヘムヘム
優秀賞 秋深き 隣も珍味 噛む人ぞ K・U
優秀賞 テレワーク 5時になったら すぐ珍味 こりめ
佳作 へそくりのように隠しておく珍味 アカエタカ
佳作 絶対に 有ったら困る 珍味税 まどけい
佳作 ほろ酔いを 持続可能に する珍味 蒼介
佳作 日本は 珍味の味も 金メダル 丸倶
佳作 コロナ後の 夢は珍味の 食べ歩き おーさん
佳作 差し入れの CHINMIで和む 選手村 中年やまめ
佳作 ささやかな 復興願う ホヤの味 仁太郎
佳作 リストラを 珍味で癒す 一人酒 怪獣
佳作 珍味にも 見える調和と 多様性 むーむー
佳作 ふる里の 珍味で帰省 我慢する ありそ

応募総数 3,871句
入賞作品 13句

選考委員会の講評

~改めて珍味を噛みしめてみる~

今年の投句数は葉書投句無しなどの制約が加わったためか昨年より減りましたが、それでも3871句に達しました。昨年多かったコロナ関連句は、今年はまるまる一年苦しめられたためかさらに増え、全体の半数ほどを占めました。また、一年延期された東京五輪の句も残りの約半数を占め、残りを一般的な珍味の句が占める形になりました。しかし、入選結果を見てみると、13句中8句が一般的な句で、それも上位が目立ちます。残りの3句がコロナ関連、2句が五輪関連と投句数とは真逆の傾向になりました。コロナ関連句は昨年来川柳界で数多く詠まれてきており、その内容も似たものが多くなり、相討ちの形が目立ちました。一方の一般的な内容の作品には新鮮なものも多く、選をしていて心が和みました。

大賞の「よき友と飲めば珍味の味も増す」がまさにそうで、よき友とよき珍味の両者の味が酒を飲みながら深まっていく様子が心地よく伝わってきます。

優秀賞の「秋深き隣も珍味噛む人ぞ」はご存知松尾芭蕉の「秋深き隣は何をする人ぞ」の引用ですが、その具体化に珍味を据えたところに川柳味を強く感じさせます。また「テレワーク5時になったらすぐ珍味」は、コロナ句でも多く詠まれているテレワークを句材としていますが、5時を珍味に結び付けたところが買われました。

佳作のコロナ関連句では「コロナ後の食べ歩きが夢」「故郷の珍味で帰省を我慢」にペーソスを、五輪関連句では「金メダルに珍味の味も」「選手村への差し入れ」に今回の五輪の特徴を、その他では「隠し場所が臍繰りと同じ」「あったら困る珍味税」「ほろ酔いの持続可能」「ホヤでの復興」「リストラを癒す」「調和と多様性」などに多様な視点をそれぞれ感じさせられました。

来年はコロナを詠まずに、本来の珍味を楽しむ作品が増えることを期待しております。是非奮ってご応募ください。

講評 珍味川柳選考委員長 津田 暹