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第5回珍味川柳入賞作品発表

応募作品 ペンネーム又は本名
大賞 タバコ代 消えた分だけ 珍味代 かきくけ子
優秀賞 避難所の 夜を珍味に 癒される あじさい娘
優秀賞 からすみを 厚めに切って 客迎え 青木ぎらほ
佳作 休肝日 珍味を前に 揺れている 穐山常男
佳作 人生の 喜怒哀楽を 知る珍味 野生馬
佳作 ふる里の 知恵が光って いる珍味 みどり
佳作 珍味には 凝縮された 食の知恵 卑弥呼
佳作 珍味食べ 浜の復興 願う夜 良夜
佳作 断酒会 好きな珍味で 盛り上がり やの字
佳作 珍味こそ 世界遺産の 味がする よし得
佳作 ナデシコの 勝利に珍味 まで踊る
佳作 あたりめを そっと忍ばせ ロトを買う 世界の波平
佳作 百歳の 秘訣を訊けば 珍味好き 稲毛 寛

応募総数 1448句
入賞作品 13句

選考委員会の講評

~時代と共に生き続ける珍味~
第5回の「珍味川柳」は昨年を15%上回る1448作品に及びました。その作品も昨年にもまして平均的にもレベルが高くなり、一次選考で102作品に絞るのに苦労しました。今年の作品の特徴として、やはり東日本大震災を背景に捉えた作品が目立ち、入賞作品にもそれが含まれています。また、女子サッカーなでしこのW杯優勝や世界遺産認定、さらには昨年10月からのタバコ代大幅値上げなど大きな話題を背景とした作品も入賞を果たしています。もちろん珍味そのものを主体に詠まれた作品も多くありますが、そこにも時代を背景として人間性の滲み出る作品が目につきました。珍味は時代と共に生き続けると言ってもいいでしょう。
大賞の「タバコ代消えた分だけ珍味代」は昨年の優秀賞に続くタバコ代大幅値上げをテーマにした作品ですが、これを機会に禁煙した代わりに珍味で美味しく酒を飲む情景が、「代」の繰返しと「だ」の韻を踏んで詠まれていて、大賞に相応しい作品に仕上がっています。
優秀賞の「避難所の夜を珍味に癒される」は数多い震災がらみの作品の中から選ばれました。避難所の辛い生活を少しでも癒す素材として、珍味が上手く詠まれています。震災がらみでは佳作の一つにも「珍味食べ浜の復興願う夜」が選ばれていて、珍味の生産地でもある被災地の一日でも早い復興への願いが伝わってきます。
もう一つの優秀賞「からすみを厚めに切って客迎え」は、「厚めに切って」という表現にお客様への持て成しの気持が上手く現われています。
佳作には珍味と「なでしこ」と「世界遺産」を上手く組み合わせた作品や、「凝縮された食の智慧」「喜怒哀楽を知る」「ふる里の知恵が光る」「着飾った珍味」など珍味の特色を上手く捉えた作品、さらには「あたりめとロト」「揺れる休肝日」「百歳の秘訣」「断酒会の盛り上り」など現代の暮らしの中での珍味との関わりを生き生きと詠んだ作品が評価に値します。
次回もさらに一味工夫した珍味川柳をお待ちしております。以上。
講評 (社)全日本川柳協会理事 津田 暹