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第3回全珍連SDGsアワード 選考結果

第3回全珍連SDGsアワードは、応募総数7件の中から最終審査を経て、以下のとおり受賞者が決定しました。

<第3回全珍連SDGsアワード 受賞企業一覧>

大賞 あづまフーズ株式会社
優秀賞 株式会社しいの食品
審査員特別賞 若女食品株式会社
全珍連理事長賞 味の浜藤株式会社
株式会社キング食品

表彰式は2025年5月22日(木曜日)、湯川温泉花びしホテル(北海道函館市湯川町1-16-18)で開催される「第61回全国珍味大会」において実施いたします。

第3回全珍連SDGsアワード講評

岩尾 詠一郎

【全珍連SDGsアワードの趣旨】

全珍連SDGsアワードは、持続可能な開発目標の達成に向け、全国珍味商工業協同組合連合会の会員傘下の企業に対して、SDGsの取組みを促し、全珍連としてSDGsに関する取組みを推進するために、SDGsの達成に資する優れた取組みを行っている会員傘下企業を選定し表彰する目的で2023年度から実施している表彰制度で、本年度で3回目になります。
第3回全珍連SDGsアワードでは、7社からご応募がございました。

【SDGsの説明】

本アワードの目的のSDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語では、持続可能な開発目標と言われるものです。このSDGsは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。この目標は、17のゴールと169のターゲットから構成されており、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国も対象となっており、日本も積極的に取り組んでいます。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:大賞】

ここから、第3回全珍連SDGsアワードの評価結果を述べていきます。
大賞は、中部珍味商工協同組合のあづまフーズ(株)の「循環型社会への貢献~地球環境に配慮した新工場設備~」が選ばれました。
あづまフーズ(株)様では、新工場において、環境に配慮した設備や仕組みを導入しており、特に排水処理システムでは、過熱蒸気の乾燥機導入による水分含有量の減容とともに、乾燥した物を肥料として販売しておりました。
これら取組みへの評価の結果、排水処理システムを新たに導入し、産業廃棄物の減容化を進めている点は、効果、普及・汎用性の観点で評価されました。また、乾燥した有機肥料を近隣のゴルフ場やお茶農家に有償で販売している点は、独自性、複合性、参画性、将来性の観点で評価されました。
今回の取組みは、他の企業にも参考にできる内容であると思われるため、今後、この取組みが広がることを期待しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:優秀賞】

優秀賞は、東京珍味食品協同組合の(株)しいの食品の「楽しくエシカルな取組み」が選ばれました。
(株)しいの食品様では、規格外原料を無駄なく利用した商品作り、社内イベントで活用する仕組み作り、全社員に対する安心安全な労働環境の整備、およびリスキリング支援をしておりました。
これら取組みへの評価の結果、規格外原料を無駄なく利用した新たな商品作りや社内イベントでの活用は、効果、普及・汎用性、将来性の観点で評価されました。また、タコカレーは、地元イラストレータ書き下ろしのパッケージ商品と共にトートバックを展開するなど販売方法に工夫がなされている点は、独自性、複合性、参画性の観点で評価されました。さらに、リスキリングに対する取組みは、独自性の観点で評価されました。
特に、会社の中でアイデアを出すためのレシピコンテストなどは、社員の意欲にもつながる良い取組みと思われます。このような活動を業界や地域に広げていき、影響を与え続ける企業としてまい進していただきたい。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:審査員特別賞】

審査員特別賞は、広島珍味食品協同組合の若女食品(株)の「豊かな海を、私たちの次の世代へ。できることから始める。できることを続けていく。」が選ばれました。
若女食品(株)様では、MSC・ASC認証の取得と活用、ノントレーやエコトレーの活用によるCO2削減、フードロスの削減を実施していました。
これら取組みへの評価の結果、MSC・ASC認証を取得し販売すること、さらにそれらの商品に対して環境配慮の取組みを実施している点は、効果の点で評価されました。また、フードロス対策として、賞味期限の延長や、ジップ付き袋を用いて小分けしやすくした取組みは、普及・汎用性、独自性の点でも評価されました。さらに、生産時に発生する生ゴミを堆肥化し、その堆肥を和牛肉に替え社員へ無償配布している点は、独自性、参画性、将来性の観点で評価されました。
今後は、これらの取組みを従業員が意識していくことでSDGsの啓発やインターン獲得につなげていることで訴求効果が生まれてくると思われます。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞は、2件あります。
1件目は、東京珍味商工協同組合の味の浜藤(株)の「形は悪いが、味は良い。誰もが喜ぶ、当店自慢のお買得西京漬製品を新たな販路でお届けします。」です。
味の浜藤(株)様では、商品製造の際に発生する端材や規格外の原料を西京漬にし、お買い得品として自社店舗で販売していた商品を、百貨店のオンライン販売へ展開していました。
これら取組みへの評価の結果、端材や規格外品の販路として、新たに百貨店のオンライン販売へと展開している点は、効果、普及・汎用性、独自性、複合性、参画性、将来性の観点で評価されました。
今後は、パッケージでの環境配慮など、さらなる環境への配慮をPRされることを期待しています。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞の2件目は、広島珍味商工協同組合の(株)キング食品の「計画生産・製造工程改善による冷凍冷蔵庫の稼働率削減」です。
(株)キング食品様では、カニカマ、つみれ等の生産部署において、冷凍冷蔵庫の適時運転や、工程改善による急速凍結庫の稼働停止によって、使用電力量を削減し、GHGの排出量の削減を図っておりました。
これら取組みへの評価の結果、製造工程の見直しによる使用電力の削減、GHG削減、および受注生産から計画生産への変更による冷蔵・冷凍庫の稼働率の削減は、効果、普及・汎用性、独自性、将来性の点で評価されました。
今後の再生可能エネルギーの導入も含めたGHGの削減への取組みに期待しています。

【まとめ】

第3回全珍連SDGsアワードでは、以上の5社が選定されました。
SDGsの目標達成には、自社ができる取組みを、新たに実施していくことも必要ですが、現在、実施している事業や取組みについても、SDGsの17の目標とのつながりの検討も必要であると思います。そして、SDGsの17の目標とのつながりのある事業や取組みの積極的な発信は、SDGsの取組みの広がりにも繋がると考えられます。
本年度は、7社からご応募がありました。来年度も全珍連SDGsアワードを実施しますので、みなさまの積極的なご応募を期待しております。みなさまのご応募が増えることで、全珍連としてSDGsに関する取組みがさらに推進していくことを期待しております。
最後になりますが、改めて第3回全珍連SDGsアワードにご応募いただきました企業のみなさまに深く感謝を申し上げ、講評とさせていただきます。

(専修大学商学部教授)