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第1回全珍連SDGsアワード 選考結果

第1回全珍連SDGsアワードは、応募総数10件の中から最終審査を経て、以下のとおり受賞者が決定しました。

大賞 株式会社伍魚福
優秀賞 株式会社しいの食品
審査員特別賞 あづまフーズ株式会社
全珍連理事長賞 株式会社かね徳
株式会社昆布森

表彰式は2023年5月23日(火曜日)、東京會舘 丸の内本舘(東京都千代田区丸の内3丁目2-1)で開催される「第59回全国珍味大会」において実施いたします。

第1回全珍連SDGsアワード講評

岩尾 詠一郎

【第1回全珍連SDGsアワードの応募状況】

第1回全珍連SDGsアワードでは、10社からご応募がございました。ご応募いただいた企業について、①8つの協同組合別、②創業年数、③資本金、④従業員数の4つの視点で見ると、①協同組合では、東京珍味食品協同組合から2社、大阪府珍味協同組合から1社、中部珍味食品協同組合から2社、兵庫県珍味商工協同組合から4社、四国珍味商工協同組合から1社からご応募がありました。②創業年数では、創業年数が50年を超える企業から、創業100年を超える企業までご応募がありました。③資本金では1,000万円の企業から約1億円の企業までご応募がありました。④従業員数では、20名の企業から400名の企業までご応募がありました。このように、様々な地域の様々な規模の企業からご応募がありました。

【全珍連SDGsアワードの評価について】

全珍連SDGsアワードでは、提出された応募書類に対して、3名の委員で、7つの項目について評価しました。7つの評価項目とは、①効果、②普及・汎用性、③独自性、④複合性、⑤参画性、⑥将来性、⑦透明性です。①効果では、企業の規模を踏まえた上で、SDGs達成に向けて、社会に与える効果の大きさについて評価しております。②普及・汎用性では、業界内のみならず、幅広くロールモデルとなり得る取組であるか。③独自性では、独自の工夫を凝らし、他社にないような取組みや先進性を有しているか。④複合性では、経済・社会・環境の分野における関連課題と相互関連性・相乗効果を重視しているか。⑤参画性では、様々なステークホルダー(関係者)を巻き込んで取組を進めているか。⑥将来性では、持続可能な取組であり、将来的に取組が発展する可能性があるか。⑦透明性では、自社の取組みを定期的に公表・評価しているかについて、評価しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:大賞】

ここから、第1回全珍連SDGsアワードの評価結果を述べていきます。

まず、大賞は、兵庫県珍味商工協同組合の株式会社伍魚福の「日本の食品業界の良いスパイラルの起点になる」ことを目指した総合的なSDGsへの取組が選ばれました。

株式会社伍魚福様は、2021年6月に中期経営計画として「伍魚福ビックバン計画」を策定し、「日本の食品業界の良いスパイラルの起点となる」ことを目標として、食品業界だけでなく、地域、社会、環境、SDGs全般、世界平和等に、どのように貢献していくかを考え、単年度の計画にもSDGsを組み込み、各部署で業務へ落とし込んでいました。その取組の一環として、2021年度は、資材廃棄ロス削減、女性社員の積極的採用、知的障がい者の就労支援、従業員労働環境の整備に重点的に取組んでいました。

これらの取組内容について、審査員3名で評価しました。

その結果、商品の完全廃棄をゼロにすることを将来の目標に掲げ、まずは資材廃棄の削減を、社内の部門横断型のプロジェクトを立ち上げ、様々な取引先も巻き込み、資材廃棄量削減した点、今後、食品工場向けにSDGsの勉強会の実施を検討している点は、効果、参画性、将来性の観点で評価されました。

さらに、自社の取組を広報誌で発信していることは、透明性の観点で評価されました。また、SDGsを前向きに捉えていて、資材廃棄の削減、女性や障がい者の雇用拡大、従業員への教育、協力企業や地域のステークホルダーへの啓発等、多岐にわたる内容について取組んでいる点、成果をきちんと数値化し、業績に連動させている点、および自社内職員で目標を設定し、達成のために取組むことで従業員の意識改善につながった点も評価されました。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:優秀賞】

優秀賞は、東京珍味食品協同組合の株式会社しいの食品の「生産時に排出される廃棄物の削減、再利用の取組み」が選ばれました。

株式会社しいの食品様では、塩辛、酒盗の生産により、排出される廃棄物を再利用し釣り餌、集魚剤などへ商品化することで、廃棄物の削減や再利用に繋げております。

これらの取組内容について、審査員3名で評価しました。

その結果、これまで廃棄していた生産時に排出される廃棄物に独自技術で工夫を重ね、天然由来成分100%の新たな製品を開発し、売上に貢献した取組は、効果、独自性、将来性の観点で評価されました。また、製品開発にあたり、製品の利用者の協力も得ている点も参画性の観点で評価されました。さらに、SNSなどを活用した情報 発信は、透明性の観点で評価されました。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:審査員特別賞】

審査員特別賞は、中部珍味食品協同組合のあづまフーズ株式会社の「新たな食の選択肢のご提案!フードテックで食の安全供給にも貢献!?プラントベースと見た目重視の「まるで魚」で、水産資源枯渇の危機啓蒙」が選ばれました。

あづまフーズ株式会社様は、2019年と2020年の魚卵原料の禁漁をきっかけに持続可能な水産資源の確保を考えるようになり、日本では他に類を見ない代替シーフード、まるで魚シリーズの販売により消費者にSDGsに関心を持ってもらい、水産資源を少しでも永く消費者にお届け出来るように、新しい選択肢としてのメディアを含めた啓蒙活動をしています。さらに、通販サイトをSDGsに特化した商品の通販サイトAZUMARCHE2.0へリニューアルしています。

これらの取組内容について、審査員3名で評価しました。

その結果、持続可能な水産資源の確保を目標として、自社の強みを活かした代替シーフードを開発・販売した取組は、効果や独自性の観点で評価されました。また、この取組について、他企業・団体と連携をしている点は、参画性の観点で評価されました。さらに、積極的なメディア露出も含め積極的に広報している点は、透明性の観点で評価されました。加えて、ヴィーガンの市場の拡大を見据え、これからの売上に貢献できる商品開発も先見性が感じられる点も評価されました。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞は、2件あります。まず1件目は、兵庫県珍味商工協同組合の株式会社かね徳の「食品ロスの低減・廃棄物の発生抑制を目的とした、賞味期間延長の取組み」です。

株式会社かね徳様では、日本の食品ロスの主な原因が、「腐敗・カビの発生・賞味期限が過ぎた」と言われている中で、賞味期限が非常に短い生の魚介類を使用した「生珍味」について、食品ロス低減と廃棄物の発生抑制を目的に賞味期間延長に取組んでいます。

これらの取組内容について、審査員3名で評価しました。

その結果、食品ロス低減と廃棄物抑制を目的とした、賞味期限延長の取組は、品質と価格のバランスも見るとともに、消費者への食の安全意識と健康意識の高まりを考慮して、保存料を使用しないという点は、効果、普及・汎用性、独自性、将来性の観点で評価されました。また、この取組が、出荷量の増大に繋がっているという成果を定量的に確認している点も評価されました。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞の2件目は、四国珍味商工協同組合の株式会社昆布森の「産業×福祉 昆福(こんぷく)事業」です。

株式会社昆布森様では、効果的な施設外就労のプロセスによる製造現場での生産性向上と就労支援をしています。

これらの取組内容について、審査員3名で評価しました。

その結果、障がい者支援施設との連携を、企業が求める品質・納期・コストの観点で両組織間において情報共有をしている点、および障がい者の就労支援の企業と委託契約を結び、継続的な業務に結び付けている点は、参画性の点で評価されました。また、将来において、一般就労を目指している点は、将来性の点で評価されました。さらに、この取組を、自社の生産性の向上に資する取組として考えていることも評価されました。

【まとめ】

第1回全珍連SDGsアワードでは、以上の5社が選定されました。

今回受賞した企業の取組は、SDGsの17の目標に照らし合わせて、新たに取組んだ事業もあれば、これまで事業として取組んでいた内容を、改めてSDGsの17の目標に照らし合わせたモノもありました。

SDGsの目標の達成には、SDGsの17の目標に併せて、自社ができる取組を、新たに検討し実施していくことが必要であると思いますが、これまで実施してきた事業についても、SDGsの17の目標とのつながりを改めて検討することも必要であると思います。そして、SDGsの17の目標とのつながりのある事業や取組の積極的な発信は、SDGsの取組をひろげていくことに繋がると考えられます。

今回は、10社のみなさまにご応募いただきました。来年度も全珍連SDGsアワードを実施しますので、みなさまの積極的なご応募を期待しております。みなさまのご応募が増えることで、全珍連としてSDGsに関する取組がさらに推進していくことを期待しております。

最後になりますが、改めて第1回全珍連SDGsアワードにご応募いただきました企業のみなさまに深く感謝を申し上げ、講評とさせていただきます。

(専修大学商学部教授)