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第2回全珍連SDGsアワード 選考結果

第2回全珍連SDGsアワードは、応募総数9件の中から最終審査を経て、以下のとおり受賞者が決定しました。

<第2回全珍連SDGsアワード 受賞企業一覧>

大賞 株式会社有馬芳香堂
優秀賞 あづまフーズ株式会社
審査員特別賞 味の浜藤株式会社
全珍連理事長賞 株式会社三豊
株式会社ホクチン

表彰式は2024年5月23日(木曜日)、横浜ロイヤルパークホテル(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-3)で開催される「第60回全国珍味大会」において実施いたします。

第2回全珍連SDGsアワード講評

岩尾 詠一郎

【全珍連SDGsアワードの趣旨】

全珍連SDGsアワードは、持続可能な開発目標の達成に向け、全国珍味商工業協同組合連合会の会員傘下の企業に対して、SDGsの取組を促し、全珍連としてSDGsに関する取組を推進するために、SDGsの達成に資する優れた取組を行っている会員傘下企業を選定し表彰する目的で実施した、2023年度から始まった表彰制度で、本年度で2回目になります。
第2回全珍連SDGsアワードでは、9社からご応募いただきました。

【SDGsとは】

今回のアワードで示されているSDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語では、持続可能な開発目標と言われるものです。このSDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。この目標は、17のゴールと169のターゲットから構成されており、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国も対象となっており、日本も積極的に取り組んでいます。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:大賞】

ここから、第2回全珍連SDGsアワードの評価結果を述べていきます。
まず、大賞は、兵庫珍味商工協同組合の(株)有馬芳香堂の「地球にやさしい環境づくり、住み続けられるまちづくりへの取組み」が選ばれました。
(株)有馬芳香堂様は、製造業として、地球環境と地域環境に与える影響への考慮が必要と考え、製造現場だけでなく、全社で取組を実施しており、さらに、地域社会とのかかわりが事業継続にも重要な課題と捉え、地域行事への参加、協賛を通じて、『共創』という認識で自治体、地域社会と一緒に取り組んでいます。
これら取組内容に対する評価の結果、製造現場での合成洗剤の使用や処理水削減に関する取組、廃油削減の取組が、普及・汎用性、独自性、将来性の観点で高く評価されました。また、「ひょうご産業SDGs推進宣言事業」への登録など、透明性の観点でも高く評価されました。
今回の取組のうち、工場内での取組は、他の企業にも参考にできる内容であると思われるため、今後、この取組が広がることを期待しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:優秀賞】

優秀賞は、中部珍味食品協同組合のあづまフーズ株式会社の「水産資源の有効活用とサステナブル原料を使用した加工品の開発」が選ばれました。
あづまフーズ株式会社様では、ASC認証を受けた、ノルウェー産の養殖アトランティックサーモンの未使用部位を有効活用する取組と、MSC認証を受けた、アイスランド産のカラフトシシャモを使用した魚卵加工品を商品化し販売しています。
これら取組内容に対する評価の結果、未使用部位の使用や、漁獲量や漁業期間が管理された魚を使用した製品開発は、独自性があり、かつ、持続可能な取組です。特に、SDGsを本業の中に取り込んでいる点は、高い評価ポイントでありました。
今後は、これら商品の付加価値を消費者に訴求することで、消費者に買い続けてもらえるような取組に期待しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:審査員特別賞】

審査員特別賞は、東京珍味食品協同組合の味の浜藤株式会社の「「もったいない」を合言葉に。SDGs弁当「銀だら照焼弁当~舞茸とパプリカのソテーを添えて~」の企画から製造、販売までの取り組み。」が選ばれました。
味の浜藤株式会社様は、お弁当の切替時に余る食材の有効活用を検討し、水産加工の過程で出る魚の切り落としや、現在使用していない弁当容器を活用したSDGs弁当を企画し、製造、販売をしております。この取組では、一般販売前に「社食弁当」として提供することで、社内へのSDGsの啓蒙につなげるとともに、築地の本店で一般販売することで、買物客だけでなく、築地に店を構える同業社へのアピールにもつなげています。
これら取組内容に対する評価の結果、SDGs弁当の企画・製造・販売は、効果、普及・汎用性、独自性、将来性の観点で高く評価されました。特に、余った食材からお弁当を作るだけでなく、その品質や味などにもこだわり、高い商品性を目指している点や、容器にも配慮している点が高く評価されました。
今回の取組のうち、余った弁当資材を活用するという視点は新しく、弁当業界への課題提起になるのではないかと期待しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞は、2件あります。
まず1件目は、東京珍味食品協同組合の株式会社三豊の「多方面での取組を!」です。
株式会社三豊様では、寄付型SGDs私募債の発行と、野菜の余剰部分を有効活用した商品開発をしています。
これら取組内容に対する評価の結果、寄付型SDGs私募債の発行にともなう寄付の取組は、社会に与える効果が大きく、複合性、参画性の観点で高く評価されました。また、余剰野菜を使用した新商品の開発は、独自性、普及・汎用性、将来性の観点で高く評価されました。
今回の取組のうち、未利用野菜の活用は、良い取組ですので、この取組を広げていただけることを期待しております。

【全珍連SDGsアワードの評価結果について:全珍連理事長賞】

全珍連理事長賞の2件目は、中部珍味商工協同組合の株式会社ホクチンの「地物を活用したお魚の代替肉」です。
株式会社ホクチン様では、創業以来の製造ノウハウを活かしたSDGsの取組として、畜産でかかる負荷を天然の水産資源の有効活用で貢献できると考え、代替肉として能登産ぶりのハンバーグを開発しています。この取組により、消費者には、脂質が少なく、ヘルシーに食べることができるハンバーグを提供でき、生産者には、地元の魚を活用することで地元の漁師と加工場の活性化に貢献することができる取組であります。
これら取組内容に対する評価の結果、代替肉として地元魚を利用した取組は、独自性の観点で高く評価されました。
これから次の展開をどのように広げていくのか、具体的な取組についても期待したいと思います。

【まとめ】

第2回全珍連SDGsアワードでは、以上の5社が選定されました。
SDGsの目標の達成には、SDGsの17の目標に併せて、自社ができる取組を、新たに検討し実施していくことが必要であると思いますが、これまで実施してきた事業についても、SDGsの17の目標とのつながりを改めて検討することも必要であると思います。そして、SDGsの17の目標とのつながりのある事業や取組の積極的な発信は、SDGsの取組の広がりにも繋がると考えられます。
本年度は、9社のみなさまにご応募いただきました。来年度も全珍連SDGsアワードを実施しますので、みなさまの積極的なご応募を期待しております。みなさまのご応募が増えることで、全珍連としてSDGsに関する取組がさらに推進していくことを期待しております。
最後になりますが、改めて第2回全珍連SDGsアワードにご応募いただきました企業のみなさまに深く感謝を申し上げ、講評とさせていただきます。

(専修大学商学部教授)